How to Order

印刷用テンプレートのダウンロードも
こちらからどうぞ

View more
EN

CRAFTSMANSHIPクラフトマンシップ

TOPBRANDCRAFTSMANSHIP

まっすぐ、ひたむきに。

東洋化成は1959年の設立以来、変わらぬ思いでレコードを製造してきました。
エンジニアの熟練の技、妥協を一切許さない姿勢は今も受け継がれています。
時代が変わろうとも生産効率を追い求めず、これからもまっすぐ、ひたむきに。

CRAFTS MANSHIP 01
カッティングエンジニア

西谷 俊介

音を、刻む。

レコード特性を考慮して預かった音源に近づける

「アーティストやお客さまからお預かりした音源データを聴きながら、溝の幅や深さなどを調整し、レコードの量産に必要なはじめの1枚である“原盤”を作ります」と話すのは、日本で10人ほどしかいないといわれるカッティングエンジニアのひとり、西谷俊介だ。東洋化成には30代から70代まで3人のカッティングエンジニアが在籍し、その技を承継している。
レコードは直径30cm、25cm、17cmの3種のサイズと、33と1/3回転、45回転の2種の回転数があり、この2つを組み合わせてルビーまたはサファイアの針でラッカー盤に溝を刻む。
「収録時間が長いと溝の本数はどんどん増えるため、1本の溝を細くしなければ収まらなくなります。一方で溝を細くすると音量は小さくなります。また、レコードは外周部から内周部に向かって針が進むのですが、内周部は高音がこもりやすいという物理的な特性があり、レコードにこだわるアーティストは高音が強い曲を外周部に、アコースティックなど高音が少ない曲を内周部に入れるなど、CDと選曲を変えることもあります」と話すが、基本的にはカッティングエンジニアが音源に対して新しい要素をプラスすることはない。
「私たちの役割は音源を100%としたとき、音の歪みや針飛びの可能性を排除し、外周部と内周部の音の変化を最小限にして100%に近づけること。一歩引いて考えることが大事です」

40年以上前のマシンで音楽の裾野を広げる

工場内に併設されたカッティングルームでは、1982年に西ドイツで作られたカッティングマシンが現役で稼働しているが、それ以降、プロユースのカッティングマシンは製造されていない。
「古いマシンなので在庫がないパーツは別なもので代用するなど、リペアしながら大切に使っています。最近はレコード製造に新規参入する企業も増え、昔とは違った作り方も模索されていますが、私たちは設立以来ずっと作り続けているので、昔ながらのやり方、レシピがあります。いま、日本の音楽は海外に輸出され、高い評価を受けています。良いやり方は吸収して技術を向上させながら、古参のレコード製造会社として日本の音楽文化の発展に貢献していきたいです」

CRAFTS MANSHIP 02
プレスマン

舩場 一平

音を、形にする。

経験や勘を頼りにマシンの設定を変える

「カッティングエンジニアによって溝が刻まれたラッカー盤は、メッキ処理と剥がし工程を繰り返し、量産に必要な“スタンパー盤”になって私たちプレスマンのところに来ます」と話すのは元自動車整備士でプレス機のメンテナンスも任されるプレスマンの舩場一平。
レコードは原料となる塩化ビニール樹脂に150〜180℃の蒸気と約100トンの圧力をかけて成形するが、製造方法は今も昔も大きく変わっていない。
「レコードはコンピューターで細かく制御して製造されるものではなく、プレス機は70年代から技術的に大きく進歩していません。ですから、マシンが冷えている朝と一日中動かして熱くなった夕方、季節や気温、使う材料によって人間が微妙に設定を変える必要があります。そば職人がその日の気温や湿度によって粉や水の配合を変える感覚ですね」と笑う。
レコードは塩化ビニール樹脂を温めて成形するため、平らに見えてもレコード針を落とすとレコードに追従するようにアームが上下に動いていく。
「一枚ずつプレスするため、わずかな個体差が生じます。古いマシンなので細かい調整幅がないため、経験や勘を頼りに調整してブレ幅を最小にしています。プレスしたレコードは、数百枚に一度抜き打ちで試聴してノイズがないか確認しています。プレス機はつねに高温・高圧で動いて急激な温度変化に曝されるため、製品の品質を安定させるには日々の調整や定期的な整備が不可欠です。私自身、自動車整備の仕事をやっていたこともありプレス機のメンテナンスも担当していますが、一台一台に個性やクセがあるので愛着が湧きます。一方で新しいプレス機も登場しているので、どんなものなのか興味がありますね」

カッティングからジャケット印刷まで一貫生産

海外の場合、コンダクターを通してカッティング、メッキ、プレス、ジャケット印刷などをそれぞれの工場に発注するケースが多く、これらを一貫生産できるのは世界的にも珍しい。
「東洋化成の場合は営業担当が進行役となるので、お客さまは窓口を一本化できます。また、製造現場では前後の工程が緊密に連携しているので、たとえばプレスで使うスタンパー盤が壊れた場合でもすぐ対応でき、リカバリーが早いのも強みです。これからもアーティストやお客さまが求める音楽、音質を形にしていきたいと思います」

CRAFTS MANSHIP 03
印刷事業部

奥川 洋平

音の世界観を、刷る。

限られた納期で期待を超えるものを

「一つの工場の中にレコードをつくるカッティングとプレスの工程、そしてジャケットをつくる製版・印刷・加工の工程までオールインワンになっているのは他にないと思います」と話すのはフィルム製版からDTPに移行した黎明期を知る奥川洋平だ。
「製版部門ではデザイナーやレコード会社から預かったジャケットなどのデザインデータから印刷用データを作ります。その工程には人物写真の髪の毛をまとめるなどのレタッチ作業も含まれます。私たちとしては限られた納期の中で、お客さまが求めていることを実現することを最優先にしています」
東洋化成では2018年に続き、2024年2月からドイツのハイデルベルグ社の最新の印刷機を導入している。
「最新の印刷機は高性能でスピードも速く、厚紙から薄紙まで通るため、お客さまのニーズに柔軟に対応できます。最近は新譜ではなくCDで発売済みの曲をレコードにするようなケースも増えています。その場合は、CDのジャケットに色を合わせていくのですが、LP盤は30cmもあり、CDサイズとは絵柄の大きさが違います。そのため印象が変わりやすいのですが、CDのジャケットを超えた良いものを作るというパッションを持って向き合っています」

音楽の世界観をジャケットの形や素材で表現する

レコードジャケットの印刷にあたっては、アーティストやレコード会社、デザイナーの意向にあわせ、特殊な箱や紙質、加工方法なども提案している。
「お客さまが求めているものがすべてなので、私たちが個性を反映しすぎないことが大事だと思います。一方で、その音楽の世界観、アーティストがジャケットを通して表現したいことがあれば、営業部門と製版・印刷部門が連携しながら形状や素材、加工方法などを提案してお手伝いします。品質の安定や納期短縮など、製造現場の合理化・効率化を図りつつ、印刷の可能性を追求し、新しいことにも取り組んでいきたいと思います」

CRAFTS MANSHIP 04
製版担当

中間 佳奈子

音に、色を着せる。

印刷の“判子”を作るという責任

「刷版はいわば判子と同じなので、元がダメだとすべてがダメになります。だから絶対に妥協はできません」と熱く語るのは、14年のキャリアを持つ製版担当の中間佳奈子。DTPで作られた印刷用データを使って後加工に適した面付けを行って、CTPという機械で金属プレートに焼き付けて画像を浮かび上がらせ、印刷用の「刷版」を作っている。
「印刷の原版になるものなので、作業は極めて慎重に行っています。1枚だけ良いものがあればよいというものではなく、100個なら100個、2000個なら2000個、そのすべてが同じ品質でなければなりません。また、弊社は印刷だけでなく製本までやっているので、決められた基準内に収まるよう妥協せず厳格に作業することが重要です。1mm、あるいは0.5mmといったわずかなズレが次の工程では大きなズレになり、仕上がった印刷物の印象も変わってしまいます」

効率を考えて日々小さな改善を続ける

東洋化成では少数多品種に対応することが多いため、1日の製版数も相当になる。
「一般的な印刷会社の場合、製版したものを使って大量に印刷することが多いのですが、レコードジャケットという特性から小ロット印刷が中心です。決められた納期の中で作業を進める必要があり、“こうしたほうがもっと効率的なんじゃないか?”と部署間で緊密に意見交換をしています」と話す。
金属プレートと薄い紙がCTPの機械の中を通るが、紙が湿気を吸ったり、摩擦熱の影響で紙が乾燥したりすることでエラーが発生する。エラーを100%予測することはできないものの、素材特性や潜在的なリスクを先読みし、“後工程はお客さま”という言葉を意識して作業をしている。
「印刷機は日々進化し、さまざまな工程が自動化されつつあります。私自身は紙や金属といった素材、アナログなものが好きですが、時代にあわせてデジタルも取り入れ、人間にしかできないことに注力していきたいと思います」